なぜ「売らない」決断が、ブランドを最強にするのか? ── 任天堂”Switch 2″品薄問題から紐解く、経営者のための「デマーケティング」の本質

株式会社Nostalgic Technology の太田です。
多くの経営者が、マーケティングを「いかに売上を伸ばすか」という“アクセル”を踏むための機能だと捉えています。Webサイト制作、広告運用、SNSといった「戦術(ツール)」を買い集め、とにかく露出を増やそうとする。しかし、その場当たり的な施策の積み重ねでは、本質的な事業成長は望めません。

真の「事業成長のマーケッター」は、アクセルと同時に「ブレーキ」の重要性を知っています。

直近、任天堂の次世代機(通称 “Switch 2″)が、供給不足に直面していると報じられています。現在もまだ生産が注文に追いついていない状態が続いております。これを単なる「機会損失」としか見れないのであれば、その視点は“業者”レベルに留まっていると言わざるを得ません。

これは、ブランドという最も重要な経営資産を守り、育てるための高度な戦略「デマーケティング」が試される局面です。本記事では、この最新事例を「設計図」の視点から紐解き、なぜ「売らない」決断が未来の「選ばれ続ける理由」を創るのか、その本質を解説します。

Nintendo Switch 2

1. 「機会損失」しか見えない視点、「ブランド毀損」に気づく視点

「作れば売れるのに、モノがない」
この状況を、短期的な売上(機会)の損失とだけ捉えるのは、あまりに表層的です。経営者が真に恐れるべきは、目先の機会損失ではなく、その先にある「ブランド価値の毀損」です。

もし任天堂がこの状況で、品質管理を無視した無理な増産や、場当たり的な情報発信に終始した場合、何が起こるでしょうか。

  • 高額転売の横行: 最もブランドを愛するロイヤルカスタマーが正規価格で手に入れられず、転売ヤーが利益を得る状況は、ファン心理を著しく冷え込ませます。
  • 顧客体験(CX)の崩壊: 「予約できない」「いつ届くか不明」という不満や不安は、期待値を最大まで高めていたファンの熱量を、そのままマイナスのエネルギー(不信感)へと反転させます。
  • ブランドへの不信: 「任天堂はファンより金儲けを選んだ」「結局、転売対策もできない」というネガティブな認識は、一度広まると容易には覆せません。

短期的な売上を追う“業者”は、この長期的な「負債」に気づきません。
しかし、任天堂のようなトップブランドは、目先の数十億円の売上よりも、数十年かけて築き上げた「信頼」という資産を守ることを優先します。ここで必要となるのが「ブレーキ」、すなわち「デマーケティング」という設計思想です。

2. デマーケティングとは何か? ── それは「需要の最適化」という設計である

デマーケティングとは、単なる「販売停止」ではありません。
自社の供給能力、ブランドが守るべき世界観、そして「本当に価値を届けたい顧客層」に基づき、意図的に需要を抑制・選別するという、極めて高度なマーケティング戦略です。

これは、アクセルしか知らないマーケッターには実行不可能な「マクロな知見」を要する“経営判断”そのものです。

今回の”Switch 2″の局面において、「設計士」の視点で取り得るデマーケティング戦略は、大きく分けて2つあります。

① 一般的デマーケティング(需要全体の抑制)

市場全体の過熱を意図的にクールダウンさせ、「熱狂」を「健全な期待」へと平準化させます。

  • 施策例: 大々的な広告キャンペーンの抑制、あえて発売日を明言せず「供給体制の構築を最優先」とアナウンスする、など。
  • 目的: パニック的な需要を抑え、無理な増産による品質低下リスクを回避します。

② 選択的デマーケティング(需要の選別)

これこそが、ブランドの生死を分ける重要な戦略です。
望ましくない需要(転売ヤー、ブランド価値を理解しない層)を排除し、「本当に届けたい顧客(ロイヤルカスタマー)」に優先的に届けるための設計です。

  • 施策例: 過去の購入履歴やアカウント登録情報に基づいた招待制・抽選販売の実施、公式ストアでのみ販売を限定し顧客データをコントロールする、など。
  • 目的: 高額転売を(完全には防げずとも)牽制し、「私たちは、あなたたち(真のファン)を大切にしています」という明確なメッセージを発信すること。

この「選別」は、一見すると顧客を突き放す冷淡な行為に見えますが、その本質は「ブランドの世界観を守る」という、最も誠実な顧客サービスなのです。

3. そのブレーキ、貴社の「設計図」に組み込まれていますか?

この話は、任天堂のような巨大企業だから関係ある、という話ではありません。
むしろ、リソースが限られ、ブランドの「格」を確立しなければならない沖縄の中小・小規模事業者様にこそ、この「デマーケティング(=選別する勇気)」の視点が必要です。

私たちNosTechは、まさにこの「設計思想」に基づき、クライアント様の事業をデザインしています。

ケース1:人気が出すぎて、サービスの質が低下している(供給<需要)

例えば、貴社が運営する飲食店や美容サロンが、口コミで人気になりすぎて予約が取れない状態だとします。
“業者”は「Web広告でもっと集客しましょう」と言うでしょう。しかし、それは既存顧客の満足度を下げ、現場を疲弊させ、ブランドを崩壊させる設計図なき施策です。

  • 私たちが描く「設計図」: あえて「値上げ」を実施します。あるいは「完全紹介制」に移行します(デマーケティング)。 それにより客数は減るかもしれませんが、客単価は上がり、利益率は改善します。何より、その価格を払ってでも通いたい「真のロイヤルカスタマー」だけが残り、現場は最高のサービスを提供できます。これが、弊社の「沖縄県シェアNo.1達成完全支援」が目指す、価格競争からの脱却の本質です。

ケース2:利益を圧迫する「望ましくない顧客」にリソースを割いている

「安さ」だけで選ぶ顧客、過度な要求を繰り返す顧客の対応に、貴重なリソースが奪われていませんか?
それは、貴社が「誰でもウェルカム」という“設計”をしてしまっているからです。

  • 私たちが描く「設計図」: 弊社自身が「下請け的なご依頼はお受けしない」「価値観に合わない企業はお断りする」というデマーケティングを徹底しているのは、なぜか。それは、私たちの「マクロな知見」と「代表である私自身のリソース」という、決して量産できない価値を、本気で事業成長を目指すパートナー企業様に100%投下するためです。貴社もまた、自社の強みを正しく定義し、「誰の、どんな課題を解決するのか」を再設計することで、望まない顧客を“戦略的に”手放す必要があります。
マリオ

結論:マーケティングとは「価値を守る」設計である

マーケティングとは、ツールを売り買いすることではありません。 貴社が持つ「本質的な価値」は何かを定義し、それを「誰に」「どのように」届ければ最も輝くのか。そして、その価値を守るためには、時には「何を捨てるか」「誰を断るか」という「設計図」を描くことです。

私たちNosTechは、Web制作やSNS運用といった「戦術(ツール)」を売る会社ではありません。貴社の事業成長をデザインする「設計士」です。

アクセルを踏むだけの“業者”との戦略なき施策に投資し続けるのは、もう終わりにしませんか。
もし、あなたが目先の利益ではなく、事業を通じた本質的な価値創造と、未来の「選ばれ続ける理由」の設計を目指しているのなら。

私たちと共に、未来の設計図を描きましょう。

OKIリーダーズ20 バナー(縦長:コラージュ)

▶︎ 沖縄の未来を担うリーダー20名に、マーケティング分野の代表として選出されました。掲載記事はこちら

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