AI時代を生き抜く武器「美意識」- 論理だけでは通用しない –

世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?

『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』-経営における「アート」と「サイエンス」-
山口周 著

目次

NosTech 社長の頭の中(読後の考察・メモ)

Voicyでもよく拝聴させて頂いている山口周さん。
山口さんらしい、鋭い考察力と深掘りによる論文・哲学チックな少し読みにくい本。
だがしかし、内容はピカイチ✨

本書は、現代のビジネスリーダーにとって、従来の論理的思考やデータ分析といった「サイエンス」だけでなく、「美意識」という感性や直感に基づく判断力が不可欠であることを論じています。

本書で語られる「美意識」は、単なる趣味や教養ではなく、変化の激しい現代社会を生き抜くための必須スキル。
美意識を鍛えることで、ビジネスだけでなく、人生そのものを豊かにすることができると結論づけています。

【ToDo】(7. どう「美意識」を鍛えるか?)

・世界のエリートは「どうやって」美意識を鍛えているのか?
 →アート鑑賞、哲学、文学、詩など、様々な方法で美意識を磨いている。
・「アート」が「サイエンス」を育む
 →アートに触れることで、感性だけでなく、論理的思考力や創造性も高まる。
・VTSで「見る力」を鍛える
 →Visual Thinking Strategies (VTS)という手法で、観察力、思考力、コミュニケーション能力を向上させる。
・「見る力」を鍛えるとパターン認識から自由になれる
 →既存のパターンにとらわれず、新たな発想を生み出すことができる。
・哲学に親しむ
 →倫理観や価値観を深め、多角的な視点を養う。
・文学を読む
 →人間の感情や社会について深く理解する。
・詩を読む
 →言葉の力を最大限に引き出し、表現力を高める。
・レトリック能力と知的活動
 →論理だけでなく、感情に訴えかける表現力も重要。

スティーブ・ジョブズ氏の例

直感を意思決定の方法として用いていた経営者の典型例がスティーブ・ジョブズでした。
彼は、「直感」について、次のような言葉を残しています。

"インドの田舎にいる人々は僕らのように知力で生きているのではなく、直感で生きている。そして彼らの直感は、ダントツで世界一というほどに発達している。直感はとってもパワフルなんだ。僕は、知力よりもパワフルだと思う。この認識は、僕の仕事に大きな影響を与えてきた。"

いかにもスティーブ・ジョブズらしいと言うべきか、いささか誇張された指摘にも思えますが、実際にスティーブ・ジョブズの意思決定が、多くの場合、一瞬の直感に導かれて行われていたことは確かなようです。


はじめに

グローバル企業がアートスクールに幹部候補を送り込むなど、「美意識」の重要性が認識されつつある現状を示唆。
本書の目的は、なぜエリートが美意識を鍛えるのか、その理由を明らかにすること。

1. 論理的・理性的な情報処理スキルの限界

・「論理」と「理性」では勝てない時代に
 →現代は情報過多で、論理的思考だけでは他者との差別化が難しく、独自の価値創造が求められる。
・「論理」と「理性」に頼る問題点
 →時間:論理的分析には時間がかかり、変化の速い現代では意思決定が遅れる。
 →差別化の喪失:誰でもデータ分析できるため、同じ結論に至りやすく、差別化が難しい。
 →アカウンタビリティの格差:論理を重視すると、責任の所在が不明確になり、無責任な意思決定が起こりやすい。
・アートが主導し、サイエンスとクラフトが脇を固める
 →今後は、感性や直感(アート)が意思決定を主導し、論理的分析(サイエンス)や技術力(クラフト)がそれを支える形が理想。
・経営トップがアートの担い手
 →企業のトップには、独自のビジョンや美意識に基づいた意思決定が求められる。
・サイエンス偏重はコンプライアンス違反のリスクを高める
 →論理だけでは倫理観が欠如しやすく、コンプライアンス違反につながる可能性がある。
・エキスパートは「美意識」に頼る
 →経験豊富な専門家は、直感的な判断(美意識)を重視する。

2. 巨大な「自己実現欲求の市場」の登場

・全てのビジネスはファッションビジネス化する
 →消費者のニーズは、機能的価値から、自己実現の欲求を満たす「意味」や「物語」へとシフトしている。
・自己実現的便益のレッドオーシャン
 →自己実現を求める消費者のニーズに応えるには、美意識に基づいた独自の価値提供が不可欠。
・デザイン思考
 →消費者の潜在的な欲求を捉え、共感を生むデザインが重要。
・イノベーションにはストーリーが必要
 →技術やデザインは模倣可能だが、独自のストーリーは模倣できない。

3. システムの変化が早すぎる世界

・システムの変化にルールが追いつかない世界
 →変化のスピードが速く、既存のルールや法律だけでは対応できない問題が増えている。
・実定法主義と自然法主義
 →法律だけでなく、倫理観や道徳観(美意識)に基づいた判断が求められる。
・エリートを犯罪から守るための「美意識」
 →倫理観を磨くことで、法に触れなくても社会的に許容されない行為を避けられる。

4. 脳科学と美意識

・ソマティック・マーカー仮説
 →感情は意思決定において重要な役割を果たす。
・意思決定における感情の重要性
 →美意識は、感情と結びついた直感的な判断力を高める。
・マインドフルネスと美意識
 →瞑想などを通して、自己認識を高めることが、美意識を磨く上で重要。

5. 受験エリートと美意識

・「偏差値は高いが美意識は低い」という人たち
 →受験勉強で論理的思考力は鍛えられても、感性や倫理観が育っていない人がいる。
・なぜエリートは「オウム的システム」を好むのか?
 →論理的思考力は、システムに適応する能力を高めるが、システムを批判的に考える力を弱める。
・コンピテンシーとしての「美意識」を鍛える
 →変化の激しい社会で活躍するには、美意識をコンピテンシー(能力)として捉え、意識的に鍛える必要がある。
・「悪とは、システムを無批判に受け入れること」
 →システムを批判的に考える力を養うことが、倫理的な判断力を高める上で重要。

6. 美のモノサシ

・鍵は「基準の内部化」
 →外部の基準に依存するのではなく、自分自身の内側に「美のモノサシ」を持つことが重要。
・主観的な内部のモノサシ
 →自分の感性や価値観に基づいた判断基準を持つ。
・「美」のリーダーシップ
 →トップが独自の美意識を示すことで、組織全体を牽引する。

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